しくじり先生

日曜の朝。

休みということもあり、いつもよりゆっくり目覚めたいのは山々でしたが、携帯のアラームが鳴ったのは5:20。すぐに布団から出て、顔を洗い、着替えてすぐに車で出発。

向かった先は、寒河江市の隣町の河北町のとある歯科医院。

昨年より、西村山地区歯科医師会の若手歯科医師向けに定期的な勉強会が行われており、その名も「朝6の会」。文字通り、日曜朝6時に集合し、そこから勉強会を行い、日中は個人や家族のためのプライベートな時間に費やせるようにという斬新なコンセプトのもと、様々な内容で勉強させていただいております。

今回はサンメディカル株式会社の「スーパーボンド」という歯科材料を中心にその他にもいくつかの歯科材料についてのお話をお聴きしました。

歯科治療では多種多様な歯科材料が使われています。同じ用途のものでも、様々なメーカーが類似の材料を開発、販売しているため、総じてみると数えきれないほどの数の歯科材料が市場に出回っております。各メーカーはそれぞれの商品に特徴を持たせていますが、やはり万能なものはなく、メリットデメリットがあるため、症例に合わせて使い分けていく必要があります。ただし、無数にある材料の特徴を覚えるのは大変な苦労があります。その上、医療は日進月歩で発展しているため、半年と経たないうちに次々と新しい製品が出てきます。ですので、常にそれらにアンテナを張り、知識のアップデートを行っていかなければなりません。今回も新しい発見がたくさんあり、大変勉強になりました。

この勉強会を主催してくださっているのは、先日のブログでもお話したひなデンタルクリニックの鈴木守雄先生。いつも大変お世話になり、ありがとうございます!

勉強会も終わり、9時頃帰宅。(といっても朝です!)

遅めの朝食を食べ、いつも通りの休日が始まります。午前中は家の掃除を行い、あっという間にお昼になり、お昼ご飯。

その後は…

まな板の上の鯉状態の診療台の上の歯科医師…

ここからは…

今回は左下一番奥歯にむし歯を作ってしまったしくじり歯医者のお話です!!

嘔吐反射(吐き気を起こす反応)が強い為、通常のレントゲン撮影ができず、わざわざCTを撮影。

黒っぽく写っているのはまさに一番奥歯の喉側、歯茎ギリギリの位置。

歯を喉の奥側から見た3D画像ではこの位置…

実際には、赤枠の部分が以前一度むし歯で詰め物をしており、今回は矢印部分(歯茎に隠れている部分)がむし歯になってしまった模様…

じつは、今から7年ほど前に(当時はまだ先輩後輩の関係でした)槙子先生に治療してもらったところ!

当時は拡大鏡もまだ使用しておらず、いわゆる裸眼での治療…。

今回は高倍率のルーペ着用下にてまずは診査時に、「あら~、なんて下手くそなCR(詰め物)」

「そそそそそそそそれって、今回は高倍率のルーペつけてるからはっきりわかるってことだし、7年前と今では明らかにレベルが違うってことですよね!ねっ!?」と、今回は期待して大丈夫(7年前もしてましたよ!)と自分に言い聞かせながら…

まずは、麻酔を打たれ、恐怖に慄く私…

バイタル安定!異常なし!!

麻酔をたっぷりしてもらい、いざ治療開始!!

歯を削られることにさらに慄く私!!

とはいっても麻酔もしっかり効いており、無痛下にてのんびりと構えながら治療を受けていると…

「ほっぺの肉邪〇!」「これ〇バッ!」「どうやって削〇の?」「マジ〇理~」容赦なく次々と耳元で囁かれる先生の声…(これらは一部フィクションです。普段の槙子先生の発言とは一切関係ありません)

「もっと痩せとけばよかった…」「もっとちゃんと歯磨きしてればよかった…」沸々と湧き上がる後悔の念…

今回の部位は自分が治療する立場でもやはり嫌だろうなと思いつつ、治療は長時間にわたり…

かなり広い範囲の治療となりました。削るのも一苦労ですが、詰めるのも一苦労!

長時間口を開けっぱなしのため、顎関節症の私は後半顎がガクガクに💦

何とか詰め物を詰め、そしてその研磨と治療は終了。

患者も先生もクタクタになるという本当に大変な治療でした(;´Д`)

槙子先生、お休みの日に長時間本当にありがとうございました!!

今回久しぶりに患者の立場になって感じたことや考えさせられたことは…

診療台に座るだけで、心の底から不安になるということ!

長時間、口を開けておくことはかなり辛いこと!

痛みがなくとも、歯を削られることは、非常に不快であること!

などなど、とにかくマイナスなイメージのことばかり。。。

しかし、裏を返せば、いかに歯を削らずに済むよう、治療ではなく予防の概念を患者さん一人一人に伝え、実践していけるか。治療を受ける患者さんの身になって物事を考え、それに寄り添った歯科医療が提供できるかを心底考えさせられました。

「医者の不養生」という言葉がありますが、恥ずかしながら今回はまさにその通り。恥を忍んでこの出来事をブログに載せるのは、そうまでしても読んでくださる皆さんに伝えたいことがあるからです。

「自分の口の中は自分ではわからない」ため「定期的に管理してもらうことが絶対に必要」であり、それが健康の源になるということです。歯に痛みがあれば当たり前のように噛めず、食事が取りづらくなります。美味しいものを美味しく食べれず、何より食事が楽しくありません。

患者さんの身になって改めて感じたこと、歯科医師として常に気を配るべきこと、早朝だけでなく、日中も大変勉強になった一日でした!(完)

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治療前の診査時に、反対の右下奥の同じ場所に同じようなむし歯が!!!(泣)